それでも、すき。
他にどうすればよかったんだろう。
どうしたら
傷を残す事なく、離れられたんだろう。
でも、行き着く先は同じだ。
あたしたちは
最初から、間違いだらけだったから。
こんな終わり方が
きっといちばん相応しいのかもしれない。
結局、最後まで
香椎くんの手があたしに触れる事はなかった。
バカのひとつ覚えみたいに
繰り返し溺れた日々も、全て。
全て、過去に消えた。
そして、あたしが
最後に伝えた言葉は、二人の距離を更に遠ざけて。
「――さよなら。」
重たく閉ざされた音楽室の扉が
開かれる事は、なかった。