それでも、すき。
無気力、とは
多分今のあたしを表す言葉として
一番相応しいと思う。
とにかく、何もする気が起きなくて。
ただ漠然と過ぎてゆく日々を、追い掛けるだけで精一杯だった。
カチ、っとライターが鳴る。
次いで紫煙があたしの視界を舞った。
…これで、何本目だったっけ。
ぼんやりと煙を目で追い、そんな事を思う。
香椎くんと付き合い始めて止めたはずだったタバコが、灰皿を埋めてゆく。
今まであたしにとってタバコは
逃げ道のひとつだった。
表に出せない感情を、煙と一緒に吐き出す。
ただ、それだけ。
でも、今は。
吸う、というよりも
吐き出す、というよりも
このココロを、真っ白に染めてしまいたかった。
もう、何も考えなくていいように。
彼の事を
思い出さない為に。