それでも、すき。



「柚果、最近可愛くなったよねぇ。」

「えっ!?ひゃあっ!」


授業終わり、菜未ちゃんとトイレに行くと突然そんな事を言われた。

あまりに唐突で、驚いたあたしは蛇口を思いっきり捻ってしまった。


その勢いで濡れた袖口を、ハンカチで拭きながらドキマギと煩い心臓を抑える。



「な、何急にっ!」

「だって本当の事でしょ?」

「そんな事、」


…ない、と言いたかったけれど菜未ちゃんの言う事はあながち間違ってなかった。


鏡に映る自分を、じっと見つめる。

そこに映るのは
以前のあたしではない。


もっとも、メガネも髪型も
変わってはいないけれど

外見とかじゃなくて。



「何て言うか、明るくなったって感じ?」

「そ、そうかな…。」

「うん!前はもっと、どんよ~りしてたもん。」


こんな顔、と言いながらあたしのマネをする菜未ちゃんに

「えー?ウソだぁ!」と笑うあたし。


そんなあたしを見て、菜未ちゃんも笑った。



「やっぱ、恋っていいよね。」



なんて、あたしの肩を叩いて。






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