それでも、すき。
一年生から、ずっとあたしの隣には瞳ちゃんが居た。
『柚果、一緒に帰ろ!』
『明日遊ぼうよ!』
『柚果はあたしの親友だよ。』
瞳ちゃんはあたしの気持ちをよくわかってくれたし、本当に気が合う子で。
友達だと思ってた。
親友だと
信じて疑わなかった。
……なのに、何で?
「……どうして、」
「どうして?」
震える声をやっとの思いで絞り出すと、瞳ちゃんはあたしを見下ろし、ふっと鼻で笑いながら言った。
「まさか、本当に親友だとか思ってたの?」
「………、」
「バカだね、ホント。」
言っておくけど、と目の前に座り込んだ瞳ちゃんは、あたしを見下すように
「あたしは一度も思った事ないけど?」
そう言いながら、首を傾げる。
視界が、真っ白になった。
それと同時に
思い出がぐるぐると頭の中を駆け巡ってゆく。
恋バナに花を咲かせた帰り道、遅刻しそうになって走った廊下、授業中に交換し合った手紙。
楽しかった思い出が、粉々に崩れてく。
涙は、不思議と出なかった。