マジ恋



「先輩、わかれる覚悟は出来ましたか?」



会うなりこんなことを言ってくる美少年。



キレイな顔を適当に笑い顔にかえた美少年はとっても不自然に見えた。



「別れるつもりないって言ったよね!」



あたしは、強い口調で言った。


自分にも言い聞かせるように。



今は、喧嘩中かもだけど栗城を嫌いになったわけじゃないもん。



「そうですか… ならば、仕方ないですね。」



そう言ったと同時に手を引かれた。



「きゃっ! …─んっ」


「「きゃあー」」



周りの声に自分がなにをされているのか理解した。


あたし、キスされてる……


嫌だ……



栗城以外の人とこんなことしたくないのに。



パッシーン!



「最低…」


制服の裾で口を抑えながら消え入りそうな声でそう言うと美少年は悲しそうに顔を歪めた。



「俺もこんなことしたくねーよ。」




自分だけが傷ついたつもりでいた。


あたしだけが犠牲者だと思っていた。



だから、周りが傷ついていることも


苦しんでいることも



わからなかったんだ。



気づけなかったんだ。




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