マジ恋





でも、言わなきゃいけない。



言わなきゃいけないの。



あたしには、選択肢なんてないんだから。




「…別れよう」





冷たく言い放った。



自分でも驚くくらい冷たくて低い声。




「なんだよ?いきなり…」



栗城の目は悲しそうに揺れる。



そんな瞳を直視出来なくて、俯く。



「あたし、嫌いになったの…愛想尽きちゃった、あなたに」




「…華、本気で…」




栗城が言い終わる前に、あたしは口を開く。




「華なんて呼ばないで。もう、あたしとあなたは他人なの」




そう言った自分に自分が
怖くなった。



ぎゅう…と胸は掴まれたように痛む。




好きだって、素直に言えることはどんなに幸せか今、わかった。




今まで、言おうと思えば言えたのに言わなかった自分。




好きだって。




大好きだって。




伝えればよかった。




しつこいくらいに。



声が枯れるまで。




好きだと言えばよかった…




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