マジ恋


「どうしたのっ?」


「迎え来てやったんだよ!」


今までこんなことしなかったくせに間が悪すぎる。

先輩が親切に入れてくれた傘の中そんなことを考えながら拗ねたように陽希から傘を受け取り赤い傘を広げた。


「先輩、あたしの弟です…陽希って言うんです。あの…っ今日は送ってくれるって言ってもらったのに…すみません」


そう言ってそっと下げた頭をあげると先輩は優しく微笑んでくれた。


しかも


「俺のことは気にしないで?弟くんと帰って…陽希くん、華のことよろしくね」

そう言って不安そうな顔をするあたしにもう一度微笑んで逆方向へと消えていった。


あーあ…
せっかくの先輩との2人だけの時間


ムッと陽希を睨み付けると陽希は「なんだよ?」と睨み返してきた。


陽希、わざわざ傘持ってきてくれたのにあたしって最低だな…



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