未定
次の日の昼ごろにポストを見に行くと・・・葉書が一枚入っていた。「宛先書かなかったし返ってきちゃったのかな」そんなことを考えながら手にしたのは間違いなく私宛の葉書。普通に考えて昨日出した葉書の返事が今日届くなんておかしい。それでもそこにはあまり気をとられず、咄嗟に裏面を見ている私がいた。

《焦らなくていいよ、忘れ物ができないんだから。あ、砂糖とガムテープとサランラップも忘れずにね。僕は今日おせんべいを食べていたら歯を2本失いました。失って初めて大切さに気付くのは一緒みたいだね、歯も、君も。》

一体何のことだかさっぱりわからない。それでも返事がきたことが嬉しくて、しばらくその葉書から目を離せなかった。

ガシャンガラドゴバリン

「!?」

突然2階から嫌な予感を漂わす音が聞こえた。「きっとあの古い本棚だ。さっきアルバム見た時に何かしちゃったかな」原因を考えながらも上えと足を急ぐ。階段を上りドアを開けると、そこにはいつもと変わりない光景が。「本棚じゃなかったの?じゃああの音は・・・」なんだかとても不吉だ。どの部屋を見ても何も起きてない。仕方なく今の騒音は隣の家からだと自分に言い聞かせ、一階に戻ろうとした時だった。

「えっ、また・・・」

二階の廊下の突き当たりにある水槽の中の金魚が絶滅していた。金魚の死に対しての驚きより、昨日のセミに引き続きどこかでみたことがあるような気がすることに自分の気持ちがいっていることが少し申し訳なかった。処理するのも気味が悪いので、とりあえず一階に戻った私は葉書を読み返し砂糖を探し始めた。結局砂糖をきらしていたために塩をもっていくことにしたのだが。

「準備、ほんとに始めちゃおうかな」

そして私は何もわからないなりに、旅行の準備を始めた。
< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop