未定
準備をしながら葉書を何度も読み返す。
なんだか字をみていると心が温かくなっていく気がした。なんのことかわからない準備だけど、なぜか嬉しくてガムテープの色は蛍光にしてみたり、サランラップだけじゃ物足りなくてジップロックも一緒に詰めた。
「気分も良いし音楽でも流しちゃお」
独り言をつぶやきながら、居間の引き出しのすぐ側にあるラジカセの元へ行く。下宿先はパソコンで全部済ませてしまうからか、実家のラジカセが懐かしく感じた。
「これ触るのも小学生以来かも」
その証拠かはわからないが家のものも使っていないらしく埃がかぶっていた。カセットテープがカゴに無造作に積まれていて、私はそれを適当にあさる。
ガチャガチャ
「?」
ひとつ、市販のとは違った録音用のカセットテープがある。ラベルシールには手書きで
《夏野菜の君へ》
と書いてあった。この字・・・ !! 私は急いで葉書と見比べる。似てるっていうより字が成長しているように感じられた。
ドクンッ
鼓動が大きくなる。私は無意識の内にカセットテープを入れて再生を押していた。