未定
「やっぱり体が覚えてるもんなんだねぇ。ほいさぁっ!」
おばちゃんは私の手に葉書を置く。
「さっき郵便屋さんにもらったんよ。あんたにあげるとするかいねぇ。」
手の上に置かれた葉書をじっと見つめる。もう、私のすべきことはわかっていた。後ろの携えたズッキーニたちを確認する。
昔の記憶はないかもしれない。でも昔の私がいたから今の私がいる。私はわたし。何も関係ないじゃない。ただ想いをぶつけるだけ。
「ありがとう。おばちゃん。」
私はおばちゃんに一礼すると、また走り出していた。
やみくもじゃなく、今度は目的を持って。
「十年経ってもお譲ちゃんもボウヤも輝いたまんまじゃないかいねぇ。」
走り去った少女を見つめながらおばちゃんは呟いた。