リベリティーファミリー
年長組と透が通う、私立桜宮学園はエスカレーター式の幼等部から大学院まである学校なので、一緒に学校へ向かいます。

「じゃあ、透は朝想が迎えに行くまで、待ってるんだぞ。朝想、家に帰ったら、洗濯物を取り込んでおいてくれ。あと、米を研いでおいてくれるとありがたいな」

「わかった」

「分かりました」

初等部の前に二手に分かれました。透が行く、児童館は初等部のすぐ近くに併設されているのです。


何故、この家族が突然の弟の出現にそんなに驚きもせずに受け入れ、大切に面倒を見るのかというと、こういうことが以前もあったからなのです。

朝想は一回、夏昼は二回、夜昂三回、それぞれ経験しています。

この兄弟が普通の兄弟と違うのは、全員、母親が違います。遠坂家で生まれたのは夜昂だけなのです。夏昼、朝想、透は三人とも、今日来た勇獅と理生と同じように、母親に連れてこられたのです。

悪く言えば、五人は母親に捨てられた事になりますが、そんなことは悲しくありません。連れて来られこの家には、あまり役立ってはいないけど、血の繋がりがある父親と、心の広い、頼りがいのある兄がいるからです。

世間が自分たちの兄弟を何と言うおうと、自分たちは同じ父の血を受け継いだ兄弟なのですから。

これが遠坂家なのです。
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