リベリティーファミリー
 父の恋人が現れたのはそれから間もなくのことでした。

「ごめんなさい、お待たせしました」

 グレーのスーツを着たロングへアの女性が店員に案内されてきました。

「伊東美咲似」

 夏昼が女性の印象を芸能人に例えました。

 父は席を立つと女性をエスコートして席に招きました。

「紹介しよう。大崎美園さんだ」

「初めまして。大崎美園です」

 美しい笑顔を浮かべて女性は遠坂家の子どもたちに挨拶をしました。子どもたちはバラバラに頭を下げて、小声で挨拶を返しました。何度もこういう席に立ち合っている年長組ですらどこか緊張している面持ちです。

「あら?お子さんは四人だと・・・」

 美園は座っている子どもの人数が聞いていた数よりも多いことに首を傾げました。

「父から聞いているかと思いますが、僕達は全員、母親が違います。今日、着たこの二人も同じです。今、三才ですからアナタと出会う前の話ですね」

 美園の隣に座った朝想が完結的に説明しました。彼女が理解して受け入れるかどうかは別の話です。話の途中で料理が運ばれてきました。
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