リベリティーファミリー
「これ、美味しいね。初めて食べたけど、なんて言うの?リゾットより、さらさらしてるね。ねぇ、ヒカちゃん」

「うるさい。黙って食えよ。行儀悪いぞ」

二人の顔は双子のようで、よく似ていますが、性格は違うようでした。女の子の月乃花はお話し好きで、男の子は無口のようです。

「お茶漬け食ったことないなんてどういう家だよ」

漬物をかじりながら夏昼はお茶漬けを初めて食べる双子を見ています。

「だから、執事がいる家なんでしょ。夜食って言ってもそれなりに洒落たものを出すんじゃないんですか?それから、その漬物はボクのものです」

そう言って、朝想は夏昼が手を付けた漬物が入ったお皿を自分の方に引き寄せました。

「布団の用意をしてきたぞ。部屋の用意は明日だな。とりあえず、双子ズには同じ部屋で寝てもらう」

 二階から降りてきた夜昂はトレイに載ったままのご飯に、お茶漬けの元をかけてポットの中のお茶をかけて食べ始めました。

「父さんに連絡は?」

「付きました。すぐに帰ってくるそうです」

朝想は携帯の画面を夜昂に見せました。

「破談になるかな?」

「どうでしょうか?二人の年は、5歳。彼女と出会う前の話ですから、ぎりぎりセーフと言ったところですね」

「それにしても、今日一日で八人兄弟になっちまったな」

「一気に賑やかになったな。明日、食器やらを買いに行かないとな」

流石に今ある食器だけでは足りないと夜昂はため息を漏らしました。

「明日はお買い物だ」

透と小さい兄弟たちは大喜びです。

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