リベリティーファミリー
「朝想おにいちゃん。はい」

月乃花に名前を呼ばれて我に返りました。振り向くと月乃花が朝想に空になった器を差し出しました。小さい弟たちの分もありました。

「ありがとう、月乃花」

頭を撫でて上げると月乃花は嬉しそうに笑いました。

「これも」

月乃花の後にいた陽花利も自分の使ったお茶碗を朝想に渡しました。

「陽花利もありがとう。二人ともお利口さんだ」

朝想の言葉に陽花利は少しだけ笑顔を零しました。その顔が何処となく夜昂に似ていると思いました。

「なぁ、この家の人間はどうして簡単にオレたちを受け入れるんだ」

陽花利の言葉に目を丸くしました。五歳だというのに、まるで大人のような口を聞く陽花利に驚いてしまいたからです。

「夜昂兄さん以外、ボクたちは同じだからだよ。だから君達が半分しか血の繋がらない兄弟だとしても驚いたりしない。確かに血は繋がっているんだから、受け入れるのは当たり前だよ」

この弟に遠まわしの答えは要らないと確信した朝想は、はっきりとそのことを伝えました。

「すげぇな。あんたら」

陽花利はふうと息をついて、身体の力を抜きました。ここでようやく彼の緊張は解けたのだとわかり、朝想の顔には笑顔が浮かびました。

「もっと凄いのは夜昂兄さんだよ」

双子に聞こえないように呟きました。直接見てもらえば幼い弟たちにも分かることでしょう。

「おい、お前ら。食い終わったなら歯を磨けよ」

二階から夜昂の声がしました。弟たちは返事をすると洗面所に向かいました
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