リベリティーファミリー
「兄貴がその気ならもう手加減なんてしないからな。覚悟しろ」

「その言葉、そのままオレのドライブボレーで打ち返してやるぜ」

「その言葉をさらにオレのドライブシュートで蹴り返してやる」

「さらにさらにオレのスマッシュで決めてやる」

同じことを言い合う二人を朝想が止めました。

「二人ともしつこいです。では、夜昂兄さんVS夏昼兄さん、無制限一本勝負、初めて下さい」

いつの間にか、それぞれのチームの代表の格闘技戦になってしまった。根っからのパワープレイヤーの夏昼に対して、柔軟な身体と思考でパワーをいなす、カウンターパンチャーの夜昂、お互いのことを知り尽くしているため勝負はなかなかつきません。

「そう兄ちゃんまだ~?眠い~」

透は目を擦りながら朝想の袖を引きました。

「もう少しだと思うよ」

朝想の膝の上では、勇詩と理生は既に寝息を立てています。

「夜昂お兄ちゃん頑張ってー。夏昼お兄ちゃんも負けるなー」

月乃花だけが一生懸命応援しています。月乃花の隣の陽花利は、眠くなってきたのかウトウトしながらも二人の試合を見ています。

「二人ともそろそろ雌雄を決して欲しいんですけど」

「うるせぇ、こっちは男のプライドが架かってんだよ」

夏昼は夜昂と組合ったまま、朝想に向かって怒鳴りました。

「夜昂兄さんに構ってもらいたいだけのくせに」

ボソっと呟いた朝想の言葉を夏昼は聞き逃しませんでした。

「朝想!!てめぇ」

朝想に気を取られた隙を夜昂は見逃しませんでした。袖と肩口を掴むと、夜昂は夏昼の懐に入り込み、背中で一気に夏昼を持ち上げ、布団の上にたたきつけました。




< 33 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop