リベリティーファミリー
「背負い投げ一本、夜昂兄さんの勝ち。さぁ、寝よう」

朝想は客用の布団の一つに勇詩と理生を入れました。

「月乃花と陽花利も布団に入れ」

双子の二人は同じ布団にもぐりこみました。

「夜昂おにいちゃん凄かったね」

「夜昂兄さんは小学生の頃、柔道の大会で優勝したんだよ」

「怪我した友達の代理で出て、優勝したからかなり顰蹙をかったけどな」

応援に来ていただけの子どもに、あっさりと負かされた選手たちにとってはかなり面白くなかっただろうと夜昂は笑って言いました。

「兄さんは器用貧乏すぎますよ」

「そうか?」

朝想は知っています。夜昂が柔道をしなかったのは、その友達が試合に出るために一生懸命だったからです。対して練習しなくても選手に選ばれてしまう自分よりも彼が試合に出たほうが良いと思ったから、習い始めてすぐに夜昂はすぐに止めてしまったのです。

今のテニスは、夜昂の実力に匹敵するチームメイトが揃っているせいか、夜昂がやめたり、引いたりする必要がなさそうなので朝想は安心していました。

「夏昼兄さんはどうします?」

「放っておけ。寒くなったら布団にはいんだろ」

咄嗟の受身が取れなかった夏昼は、頭を打ったせいか気を失っています。

「全員、布団に入ったなぁ、電気消すぞ」

「おやすみなさい」

みんなにあいさつをして電気を消すとすぐに寝息が聞こえてきました。

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