リベリティーファミリー
「ねぇねぇ、お父さんがうちひしがれてるよ」

透が父を指差すと、広明はテーブルに肘を着いてうな垂れてました。

その姿は、未来の日本を守る防衛組織の何を考えているか分からない司令官のように見えました。

「あれ、父さん泣いてんの?」

「いや・・・目にゴミが」

「悪かったよ。無視して・・・・ホレ、全員テーブルにつけ」

長男の指示でみんな席に着きました。

「みんなに言わなくてはいけないことがある・・・」

そこはみんな真剣に聞きます。

「実は仕事で海外に行くことになった・・・」

それはいわゆる、転勤というやつでした。

「で、どのくらい?」

「わからん。ニューヨーク支店の責任者として赴任することになるから、1年か2年は向うで生活しなくてはならない」

「ふーん。で、ちょくちょく帰ってこれるの?」

夏昼は父の転勤に余り興味はありませんでしたが、とりあえず聞いておこうと思ったことを聞きました。

「もちろんだ。会社にもうちの事情は話してあるから。何かあったら帰ってこれる」

「そう。なら良いや」

夏昼は納得したのか兄の方を見ました。

「だそうだ。みんな、良いか。これから父さんはこの家にしばらく帰って来ないから、みんなで助け合って暮らしていかなくちゃならない。金の問題はないが、親がいないというだけで、色々言って来る奴らがこの世にはたくさんいる。なんかあったら、兄ちゃんに言えよ」

夜昂がみんなに声をかけると、全員元気よく返事をしました。

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