リベリティーファミリー
「じゃあ、父さんいってらっしゃい」

あっさりと子どもらは父親の転勤を受け入れてしまいました。

「なぁ、普通、こどもは親の転勤とかについていくもんじゃないのか?」

陽花利は朝想の袖を引いて聞きました。

「うちは他の家と違うからね」

「兄弟が多いからか?」

「そうだよ。転勤って言うと、家中のものを向うに持っていかないといけない位大変なんだ。僕ら全員のものを持っていくってなるとお金も労力もかかるからね」

父の会社では海外を相手にしているから、海外への転勤もあるということを上の三人は知っていました。

4人兄弟の時は海外についていくことも可能だったかもしれませんが、8人になった兄弟では海外についていくことは無理です。

なので夜昂は父だけを単身赴任させる覚悟を決めていました。

そのことは父と時折話していましたが、

いざ、この時になると、

誰も自分についていきたいと言う子どもがないのが父には無性に淋しいのでした。


「父さん」

「透。透はお父さんがいなくて淋しくないか?」

「うん。お土産、毎月送ってね」

透はそう言って父から離れて行きました。


なんて逞しくなったんだろう。と思うしかありませんでした。
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