リベリティーファミリー

「父さん、がっくり食べてる時間なんてないよ。時間見て食えよ」

長男は弟達の食器を手際良く洗いながら父に声をかけます。

今は、春休み、学生の子ども達はのんびりと準備をしていますが、会社がある父には余裕の時間は余りないのです。


「では、行ってくる」

スーツを着込んだ父は、子どもたちにやり込められるような大人ではなく、どこからみてもエリート商社マンです。

「行ってらっしゃい。夏昼、父さんにゴミ渡してくれ、玄関に置いてあるから」
夏昼は、玄関に向かい靴をはいている父に兄からの伝言を伝えました。

「わかった。夏昼、みんなくれぐれも軽はずみな真似はするなよ」

「はいはい」

次男は腹の中で、お前もなとほくそ笑ました。

父が立ち上がりゴミ袋を片手にドアを開けるとそこには、３才ぐらいの男の子が二人立っていました。