リベリティーファミリー
「あ〜ぁ」

夏昼は、父がすでに軽はずみな行動をしていたんだと思いながら、リビングに戻りました。

「兄貴。久々に来たぞ」

家中に夏昼の声が響きます。

我に返った父は目の前の二人に問いかけました。

「君達、お母さんは?」

と聞くと二人は揃って首を横に振ります。

「ではお父さんは?」

どこかの怪談話の様の展開の問い掛けに対し子ども達は、目の前の広秋を指差しました。

「本当だ。久々だな。父さん、何固まってんだよ。早く、行けよ。遅れるぞ」

固まる父を余所に子ども達はあっさりと受け入れています。

「あぁ。夜昂、後は頼んだ」

意気消沈という言葉がよく似合う姿で、出て行った父を見送ると二人の幼児を家の中に入れました。

「名前は?」

「ゆうし」

「りお」

とそれぞれ元気に答えました。

「いくつ?」

と聞くと、小さな指を三本立てて見せました。

「そっか、ゆうしとりおで、三才か。ちょっと後ろ向いて」

夜昂の言葉に二人は従います。二人の首には、星の形をした痣が一づつ付いています。
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