リベリティーファミリー
「間違いねぇ。父さんの子だ」

「わーい、オレ兄ちゃんだー」

「今日から六人兄弟ですか」

あっと言う間に四人は二人を兄弟と認めてしまいました。
  
それを見ただけで全員が目の前にいる二人を兄弟と認め、受け入れたのは、この痣が四人にも同じ位置、同じ形のものが付いているからです。父譲りのこの痣は唯一無二の兄弟の証なのです。

「ゆうし、りお。今日からここがお前らの家だ。よろしくな。オレが一番上の兄ちゃんの夜昴だ」

夜昂が二人の頭を撫でてあげると、二人は安心したのか笑顔になりました。

「りお、お手紙」

ゆうしが、りおの背負っているリュックから一通の手紙を出して夜昂に渡しました。それは、二人の母親という人からの手紙でした。

四年前、父と出会い関係を持ったこと、行為の内容がまるで官能小説のように書かれています。そして、やっと最後に勇獅(ゆうし)と理生(りお)二人を引き取って欲しいということが三行のみ書かれて締めくくられていました。

その内容に夜昂は眩暈を起しそうになりました。最近の大人は何を考えているのだろうか?借りにも10ヶ月は自分の腹の中で育てて3年間、その手で育てた子どもを手紙一枚で引き取れだなんて。

「なんだって?」

夏昼が、手紙を覗こうとすると夜昂は慌てて手紙を閉じました。

「バカ!コレはR15指定もんだ」

「なんだよ。良いじゃんか!この間、15になったっつうの」

「2ヶ月前まで14やってたヤツが何を言うか」

「見せろ」

「駄目だ!」

それから何分か同じやり取りが続きました。
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