百花繚乱。
今日もあたしは気だるく
煙草をふかしながら、店
で客を待っていた。


年齢層の高いこの店で、
唯一の二十代前半は何か
と重宝される。


まるで『お職のおいらん』
にでもなった気分でいら
れる。


女の妬みと僻みの凄いこ
の業界にも慣れてきた。


要は一番になればいい。


そしてそれを維持すれば
周りにあたしを咎める権
利は無くなる。


たったそれだけの事。


「玲花-??出勤してる??」


聞き慣れた声に顔を上げ
ると、歩菜美がドアから
顔を覗かせていた。


隣の雑居ビルにあるキャ
バクラで働く、あたしの
友達。


「出勤まで時間あるから
さ、ちょっとここで飲ん
でくよ。」


黒いロングドレスに身を
包んだ歩菜美は、昼間と
はまるで別人みたい。
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop