ちょいとしたドロドロ物語
次の日昼過ぎに店に行くと、そこにはミホの姿があった


今日は8時オープンだから、それまでにある程度は覚えてもらうよ、と言われそこからは言われたことを頭に詰め込めるだけ詰め込んだ


「まず店では絶対ママって呼んで……それと店の子とは……それがコンクで、それにチャーム入れて……料金は……」


何とか覚えて時計を見ると、まだ少し時間があった

するとミホが色んな話をしてくれた


ミホは去年まで銀座のクラブで働いていて、夜の仕事は中学出てからすぐ始めたそうだ

子供の事や死んだ旦那の事も

今まであった楽しいことも辛いことも


そして…


龍にはまだ内緒だが、お腹の中に龍の子供がいることも



俺はこんな人の下で働けて、心底幸せだと思っていた


ある種の尊敬の念すら抱いていた


例えミホに何かあっても、それまでは全力で支えようと


ミホに不信感を抱いた自分を恥じさえした


こうして気づかないうちに俺の歯車はどんどん崩れていった
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