恋愛ゲーム
そう言った先輩は、笑顔で。
ふっと笑うと、そっとあたしの唇にキスをした。
触れるだけの、軽いキス。
「…先輩?」
見上げると、先輩は困ったような表情を浮かべて。
「ありがとう。
だけど――…明菜のことは利用出来ないな」
視線を合わせたまま、そう、言った。
…どうして?
他の人のことは利用出来るのに。
あたしはダメ…ってこと?
「――…どうして、ですか?」
そう口を開いて、はっとした。
あたし、何…聞いてるの…?
答えなんて、聞かなくてもわかるじゃない。
“あたしのことを好きじゃないから”
断る理由なんて、それしかないから。
答えなんて、それだけでしょ?
「…っあ…!
ごめん、なさ…あたしっ…」
わかっていたはずなのに。
それくらい、最初からわかっていたはずだったのに。
気持ちとは反対に涙が溢れそうになって、あたしはセーターの裾で顔を隠すとベッドから立ち上がった。