恋愛ゲーム


顎を掴んでいた先輩の手が横にずれて、あたしの頬に触れた。


…パンッ!




「―…ってえ」





あたしは視線をずらさないまま、思いっきり先輩の頬を叩いた。

乾いた音が、耳に響く。





「あたしは誰とでも、そんなこと出来るようなっ…そんなに軽くない…!


バカにしないでっ…
あなたと一緒にしないでください…!」



「…へえ」





先輩は赤くなった頬を手で押さえ、あたしを見て笑ってみせた。
その笑顔に、不覚にもまたドキッとしてしまう。





「な…何笑ってるんですか…!

言っておきますけど、あたし絶対に謝りませんから!
…あたし間違ったことなんてしてませんっ」



「…ふうん?」





嘲笑うみたいな、そんな低い声でそう呟き、あたしの顔をジロジロと見下して来て。





「…っ!」





そのまま、いきなりあたしの肩を押さえて勢い良く壁に押し付けた。


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