恋愛ゲーム


「――…わっ…!」





次の瞬間。

勢い良く立ち上がったあたしの腕が、いきなり先輩に引っ張られて。

そのままもう一度、あたしの身体はベッドに倒れ込んでしまった。





「い、た…」




目を開けると、
目の前に先輩の顔があって。

あたしは先輩から両腕を押さえつけられていて、
起き上がることの出来ない状態で。





「――…俺は…」





視線を合わせたまま、

至近距離で見つめ合ったまま、

先輩はそっと、つぶやいた。





「明菜だけは、
やっぱり利用出来ない……



―――利用、したくない」




先輩があまりにも、優しく笑うから。
こんなにも、苦しそうな表情を浮かべるから。





「…どうして…ですか?
なんであたしじゃダメなんですかっ…?」





あたしなんか、
いくらでも騙されたって構わないのに。


他の人が先輩に優しくされるのを、ただ側で見ているくらいなら…


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