恋愛ゲーム


分かったんだ。
俺は――…




「…目、背けてた…だけだった」




目の前に立っている樹里は、黙って俯いている。
だけど俺は、目を反らさずに。

じっと、樹里のことを見つめたまま。





「…ほんとは、ずっと分かってたんだ。


樹里が、俺のことを好きにならないことなんか。
どれだけ告白したって、高価なプレゼントをあげたって…

そんなんで、樹里の心が動くわけないって」





それでも――…
どうしても、それを止めることは出来なかった。

俺は、目を背けてたから。

自分の気持ちから。
目の前の、現実から。



俺はただ、この苦しい気持ちから逃れるのに必死になっていた。
本当の気持ちなんて、気付いていない振りをしていた。





「…――ごめん」



『えっ…』





突然そう言って頭を下げた俺に、樹里は驚いたような小さな声を上げた。





『…なんで…?


どうして慎吾が謝るの…!?
ねえ…っなんで…!?』


< 117 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop