恋愛ゲーム


「…おもしれえ女」



「ちょ…っ痛い!
何すんの…!?」





肩を掴んだままの先輩の手を引き離そうとしても、力が強くて全く動かない。
仕方なくあたしは、顔を上げて先輩を見た。





「…アンタ、名前は?」



「…明菜。井澤、明菜」





そう答えると同時に、先輩はさらにあたしに顔を近付けて来た。





「…俺さ、女に殴られたのって、初めてなんだよね」



「ちょっ…だから何だって言うんですか!」





これ以上近付かないでよ…っ!

そんなあたしの思いとは反対に、先輩は顔をだんだんと近付けて来る。
真っ赤に染まるあたしの顔を見て、先輩は笑って言った。





「俺、アンタのこと落とす自信あるよ」





…全然、知らなかった。

そんなんじゃないよ。

あたしは、こんな先輩を好きになったわけじゃない。





「…あたしは絶対、先輩みたいな人に落とされません」


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