恋愛ゲーム
『…頑張れ。
あたし、応援する。慎吾のこと』
そう言って笑った、樹里の表情は。
今まで俺が見たなかできっと。
一番きれいで、一番素敵で…一番好きな笑顔だったと思う。
「…サンキュ、樹里」
『じゃあ…あたし、行くね。
ばいばい、慎吾』
笑顔で手を振りながら。
樹里は俺に背を向けた。
そんな樹里の表情にも、どこか吹っ切れたような感じも垣間見ることが出来て。
自然に、笑顔で手を振り返すことが出来た。
バタン、とドアの閉まる音が聞こえて、俺は小さくため息をつくとフェンスに寄りかかった。
…良かったのかな、これで。
――良かったんだよな…?これで。
「…ありがとな」
無意識に空を見上げて。
白く霞んでは、消えてゆく息と共に小さく発せられた言葉に、感じた。
これは、誰に向けた言葉だったんだろう?