恋愛ゲーム

***

『慎吾』



ぼーっと空を見上げていた俺は、後ろから聞こえた声にはっとして振り向いた。

そんな俺を見て、
声をかけてきた本人――恭は、ニコリと小さく笑ってみせた。




「悪いな、いきなり呼び出して」



『いや、大丈夫だけど。

だって電話じゃダメな用事だったんだろ?
何かあった?』




…ほら、まただ。
恭はいつだって、俺の言葉よりも先に分かってくれてる。

だから俺は――…




「…ちゃんと、言って来た」



『え?』



俺の突然の台詞に、恭は一瞬訳が分からない、というような表情を浮かべて。
だけどその言葉の意味を理解したのか、いつもより少しだけ優しい表情で…


小さく、微笑んだ。




「――樹里に、ちゃんと言ったから。


…自分の気持ち。
ちゃんと、逃げないで」



『…そっか。
慎吾、頑張ったな』




恭はいつだって、
俺のことを心配してくれて。

俺のことを気にかけてくれて。


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