恋愛ゲーム
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『慎吾』
ぼーっと空を見上げていた俺は、後ろから聞こえた声にはっとして振り向いた。
そんな俺を見て、
声をかけてきた本人――恭は、ニコリと小さく笑ってみせた。
「悪いな、いきなり呼び出して」
『いや、大丈夫だけど。
だって電話じゃダメな用事だったんだろ?
何かあった?』
…ほら、まただ。
恭はいつだって、俺の言葉よりも先に分かってくれてる。
だから俺は――…
「…ちゃんと、言って来た」
『え?』
俺の突然の台詞に、恭は一瞬訳が分からない、というような表情を浮かべて。
だけどその言葉の意味を理解したのか、いつもより少しだけ優しい表情で…
小さく、微笑んだ。
「――樹里に、ちゃんと言ったから。
…自分の気持ち。
ちゃんと、逃げないで」
『…そっか。
慎吾、頑張ったな』
恭はいつだって、
俺のことを心配してくれて。
俺のことを気にかけてくれて。