恋愛ゲーム


「…そっか」



ふと、頭の中に明菜の顔が浮かんだ。

恭は「嬉しい」と、そう言ってくれた。


明菜は――…

明菜はこんな俺を、受け入れてくれるのかな。
俺が好きだと言えば、本気で考えてくれるのかな。


だって、未だに思うんだ。


俺は本当に、また人を好きになれるのかって。
人を、また好きになってもいいのか…って。



また―――辛い思いをするだけなんじゃないか…って。


そう思うと、胸がギュッと苦しくなって。




『…どうした?』




俺の肩にそっと、
心配そうな表情を浮かべた恭の手が触れる。

…バカか、俺は。


ただ、不安――なんだ。

いつ、離れて行ってしまうか分からない。
いつ、愛想を尽かされてしまうかも分からない。



人を――好きになりたい。
でも…好きに、なれない。

信じたい。
でも…信じられない。



そんな気持ちが、ずっとずっと心の中にあって。
消したくても…消えて、くれなくて。


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