恋愛ゲーム


「…好きになって、いい、のかな…」


『え?』


「もう一回…
俺は人を、好きになっていいのかな…?」




ふんわりと、優しく。
大きな手が、俺の頭を撫でた。

視線だけを上に向けると、恭は相変わらずの笑顔で俺の頭を撫でていて。




『バーカ』


「なっ…」


『バカだな、ほんと』




クスクスと小さな笑みを浮かべながら、その手はそのまま俺の頭を撫で続けている。

その動きがだんだん激しくなり、明らかにぐしゃぐしゃとなっていく髪の影が床に映って。




「ちょ、おいっ!」


『いい子ですねー、慎吾くんは』


「おい、バカにしてんのかお前っ」


『バカはどっちだよ。
バカ、アホ、不器用、鈍感』




…コイツ、ついに俺のこと苛め始めたのか?
ぐすん、と涙を拭うふりをすると。




『…でも、大丈夫だよ。
慎吾は、誰よりも人を想う気持ちを持ってるから』


「は…?」




なに、いきなり。
意味分かんねえ…


< 126 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop