恋愛ゲーム
ガチャッ…
それから10分くらい経って、ドアが開く音がした。
日陰に横になっていた俺は、身体を起こしてドアの方へと足を進める。
「慎吾、ごめん遅くなって」
振り返った俺と目が合って、相手はニコリと笑った。
「…おう」
軽く言葉を交わした後、樹里はフェンスに寄りかかる俺の横まで歩み寄り、同じようにフェンスに寄りかかった。
安藤樹里[アンドウ ジュリ]
俺の幼なじみで…俺が小さい頃から、ずっと好きな人。
「…ん。」
近付いてきた樹里に、さっき確認した紙袋をポケットから取り出し手渡した。
…また今日も渡すのは、意味のないプレゼント。
こんなの、違うって分かってる。
間違ってるのは、分かってるけど。
「ありがとう」
さっきと同じようにニコリと微笑んだ樹里は、その紙袋を自分のブレザーのポケットの中に入れた。