恋愛ゲーム
“恋は駆け引き”
…そんなことを言ってたのは、誰だったっけ?
紙袋を受け取った樹里は、「じゃあね」と俺に小さく声をかけて、すぐに屋上から出て行った。
樹里が出て行ったドアをボーッと見つめながら、ため息が漏れた。
何してんだ、俺。
そのまま、その場にゴロッと横になる。
「また、女の子からもらったお金で樹里にプレゼント?」
「…恭、お前いつからいたんだよ」
呆れたように、困ったように笑う声が聞こえて、身体を起こす。
奥の方にある、梯子を使って登ることが出来る場所に恭は座っていた。
「覗き見なんて、悪趣味だな」
ぶっきらぼうにそう呟いた俺を見て、恭は可笑しそうにクスクスと笑った。
「何年目?もう」
笑った顔は、とても穏やかに見えて。
だけど、どこか悲しそうな、辛そうな表情が入り雑じっている。