恋愛ゲーム
なんで恭が、そんな表情するんだよ。
辛いのは、お前じゃないのに。
「…初めて言ったのは、中2」
「じゃあ、もう5年くらいか」
太陽に目を向けて、眩しそうに目を細める。
そんな恭のことを、俺はただ見つめていた。
恭は、優しい。
辛い時は、なぜかいつもタイミング良く現れて、こうして俺の話を聞いてくれる。
「ああ、そう言えば」
「あ?」
突然話を変えるのは、恭のクセ。
基本マイペースで、いつも自分勝手に行動する。
だけど恭のそんなとこが、俺は好きだったりもするんだけど。
「女の子、全員切ったらしいね。
何するつもり?」
「…“恋は駆け引き”」
「は?」
いきなり突拍子もないことを言い出した俺に、さすがの恭も不思議そうな眼差しを向けてくる。
俺は樹里に電話をした後、携帯に入っている女全員に連絡して関係を切ることを告げた。