恋愛ゲーム


「わ…っ、分かったから…
分かったから、早く離れてください…!」





明菜は明らかに焦った様子で。

あまりにも必死になってそう言うものだから、からかってやりたくなったんだ。


さっきまでキツく握っていた腕を、ぱっと離す。
途端に自由になるはずの明菜の腕は、その場所で静止したまま。





「え…?」





そして明菜の口から漏れたのは、戸惑ったような、不思議そうな、そんな感じの声。





「…なに?
もしかして、離れて欲しくなかったの?」





冗談、だったのに。

明菜なら当然「そんなことない!」って拒否すると思ってた。

なのに。


俺が冗談半分にそう言って、明菜の顔を覗き込むと。





「…っ…」





明菜は、真っ赤な顔で視線を反らし、俯いてしまった。

…なんだよ。冗談、なのに。


別に、急ぐ必要なんてなかった。

それなのに――…


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