恋愛ゲーム
「…明菜」
「え?…っわ!?」
気付けば俺は、ただギュッと強く明菜を抱き締めていた。
ゲームなんて、…負けでいい。
俺の、負けでもいい。
「ちょ…っ、せ、先ぱ…!?
何して…!」
明菜は突然の出来事に驚いて、あわあわと俺の腕の中で暴れ始めた。
そんな表情を見ても、…可愛いと思ってしまう。
俺はきっと―――明菜に惹かれてる。
どうしようもないくらい、
めちゃくちゃにしたくなるくらい、
明菜を自分のものにしたくて、
側で笑っていてほしくて、
―――明菜なら俺のことを、認めてくれるような気がしてるんだ。
明菜の温かさに触れて、あの柔らかい笑顔を見て、きっと…
きっと明菜なら、俺を変えてくれる。
俺のことを、心から分かってくれる。
そう、思えたんだ。…心から。
だけど…――だけど。
ギュッと目を閉じて、頭の中で思い出す。