恋愛ゲーム
次の瞬間。
頬に温かいものが触れたと思ったら。
あたしは腕を引っ張られて、ボスンと先輩の腕の中に抱き止められていた。
「せんぱ…
あたしのこと…怒って…ない、ですか…?」
「冗談だっつーの。
ほんと、お前素直すぎ。そんなに素直すぎると、俺みたいなのに騙されるよ?」
そう言いながら先輩は、
さっきよりも少し強くギュッとあたしの身体を抱きしめながら。
小さな子供みたいな笑顔を見せて、あたしの頭をポンポンと優しくたたいた。
なんだ…そっか…
「な、んだあ…
そっかあ…良かったあ…!」
ほっとして、ため息が出た。
良かった…
先輩、ほんとに怒らせちゃったのかと思った。
ほんとに、心配したよ…
「ねえ」
そんなあたしを、松下先輩はじっと見つめて口を開いた。
「もし俺がほんとに怒ってたら、どうするつもりだった?」
「え…?
…えと、それは――…」