恋愛ゲーム


「ハイ。ほら、早くしてよ」





そう言って、先輩は目を閉じてあたしに近付いた。

長いまつげに、光が当たってキラキラと反射する。





「…や、えっと…!
だから、それは……」



「してくんないの?」



「いや…だから…っ」





先輩の行動一つ一つに、
いちいちこんなにもドキドキするなんて…

大きく脈を打ち続ける胸を、制服の上からギュッと押さえた。


…だめ、だ。
心臓…爆発しそうだよ。


こんなにも、ドキドキするなんて…

あたしはやっぱり…
先輩が好きなんだ――





「ねえ、明菜」





先輩が、あたしの耳元でそっとささやく。

その声が、何だかくすぐったくて。
思わず首をすくめて、先輩へと視線を向ける。



…目が、合って。

あたしの心臓は、またバカみたいにドクン、と高鳴った。





「――なあ、顔、上げてよ。

顔、見せて。
明菜の顔、ちゃんと見たい」





…ああ、先輩は…意地悪だ。


< 61 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop