恋愛ゲーム
『そっか、それなら良いんだ。
1限目サボってたから心配でさ。
どこにいたの?』
「え、と…」
言って、いいかな。
…けど、歩には迷惑かけちゃったしね。
「松下先輩と、屋上に」
『え、2人で?』
「う、…うん」
ぽかんとした表情を浮かべたあと、歩は小さくため息をついてみせた。
『あーあ。
あたしはこんなに心配してたっていうのに。
明菜は先輩とイチャイチャしてたのかっ』
「そっ…そんなんじゃないって!ほんと!」
大袈裟に両手を横に振って否定するあたしに、歩が『冗談だよ』とケラケラと笑う。
…だって、ね。
好きなのは、あたしだけなんだもん。
別に先輩は、
あたしのことなんて好きじゃないから。
…何とも思ってないはずだから。
どんなに一緒に時間を過ごしたって、
どんなに優しく接してくれたって、
どんなに――…
あたしが、先輩のことを好きだと思ったって。