恋愛ゲーム
「い、…った」
思わず、足首をギュッと押さえた。
だけどあたしに構わず、その痛みは次第に強まっていくばかり。
『…ねえ。
何でアンタ、人の彼氏に堂々と手出してるわけ?
おかしくない?
やって良いことと悪いことの区別がつかないわけじゃないでしょう?』
「……っ…」
どうしよう…
どうしたら良い?
あたし、そんなの知らない。
先輩に彼女がいたなんて、知らないよ。
当然知ってたら、付き合うことなんてしなかった。
…けど。だって…
あたしと「付き合う」って言い出したのは…あたしじゃない、先輩の方なんだよ…?
――だけど、もし。
この人が、本当に先輩のことを好きなら。
先輩のことを、本当に思っているんだったら。
下を向き、唇をギュッと噛んだ。
そして、顔を上げると。
「…すいません、彼女がいるってこと…知らなかったんです。
でも…
松下先輩は、こんな酷いことしてるのに…
それでもどうして、そんなに松下先輩のことが好きなんですか…?」