恋愛ゲーム


「でも…
樹里さんは、自分を必要としていない。

本当に心から、自分のことを必要とはしてくれていない。


だけど、やっぱり誰かに必要とされたくて…

不器用だから、
お金でなんとかしようとしてしまう。


樹里さんのことが、好きだからこそ…
本当に、大好きだからこそ、あんなことしてるんじゃないんですか…?

――お願いします…先輩の気持ち、分かってあげてくださいっ…

先輩の気持ちを、簡単に利用しないでください…」





だって、
きっとそうでしょう?


先輩がいつも、
何となく寂しそうなのは…想われない、報われない辛さを知っているから。

きっと告白して来る人を、
簡単に振れないのは…人を想う気持ちを、自分が誰よりも知っているから。



少しでも自分を必要としてくれることが、嬉しいから。

その気持ちに、応えようと思うから。


だからきっと、先輩は。

あたしの好きな先輩は。





「お願いします…っ」





どこかで優しさを、
はき違えたのかもしれない。


< 75 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop