恋愛ゲーム
「じゃああたし…もう行きますねっ」
そう言って、勢い良く立ち上がった。
その時――…
「…わっ!?」
いきなり腕を引っ張られて、
あたしはもう一度、先輩の腕の中で。
「ちょ…!せ、先輩…?」
「―――ごめん、ごめんな…
痛かったよな?」
話すたびに、
言葉を発するたびに、
だんだんと小さくなる、先輩の声。
「…先輩…?」
「――ごめんな…
ちょっとだけ…
もう少しだけ、このまま…」
先輩の声が、肩が、
小さく震えている気がした。
「…先輩」
先輩が、あたしに弱さを見せてくれたのが。
…嬉しくて、…だけどどこか苦しくて。
いつもよりも小さく見える先輩の背中に、自分の腕をそっと回した。
先輩。
――先輩。
どうしようもなく、好きで。
好きで、好きで。
…先輩、あたしじゃダメですか?