恋愛ゲーム
触れた優しさ ―慎吾side―
「…じゃあ、
お金をもらってることも…知ってるんですか?
知ってて、何も思わないんですか?」
それは、2時間目が終わった後の休み時間。
明菜に用事があった俺は、2年の明菜の教室を訪ねた。
教室を覗いてみたけれど、そこに明菜の姿はなくて。
…学食とか行ったのかな。
そう思って、自分の教室に戻ろうとしたとき。
『…あれ?松下先輩?』
「あ?」
振り返った俺の、目の前にいたのは。
確か前に…明菜と一緒に歩いていたヤツ。
『先輩、明菜と一緒じゃなかったんですか?』
「…なんで?」
『だって明菜、裏庭行きましたよ?
先輩に呼ばれたからって』
胸騒ぎが、した。
周りのガヤガヤしたうるささとか、廊下の人の多さとか、普段はどうだっていいようなことすら、妙に苛立って。
「…アイツ、裏庭って言ってた?」
『え…あ、はい…』
その返事を聞いた瞬間、俺はその場から走り出した。