恋愛ゲーム
「だって、そんなの酷いじゃないですかっ…!
…先輩の気持ち知ってて、それで都合良く利用するなんて…!」
だけど明菜は、樹里に突き飛ばされてしまいその場に座り込んでしまった。
樹里が、明菜に近付いて。
『別にあたしはね、
慎吾に付き合って、ともお金をもらって、とも一回も頼んだことなんかないよ?
慎吾があたしを好きで、それで勝手にしてることじゃん。
何で慎吾のことなんて何も知らないアンタなんかに…
そんなこと言われなきゃいけないの』
胸が、痛い。
心臓を針で刺されたみたいに、ひどくチクリと痛んだ。
…やっぱり、な。
分かってた。分かってたんだ、…そんなこと。
だけど、…だから。
思い知らされることが、こんなにも辛いなんて。
その時。
「…きっと先輩は、寂しいんです。
いつも女の人と関係を持って、お金をもらっていても…
いつもその時だけ、誰かに必要とされていても…」
明菜の声が、聞こえた。