恋愛ゲーム
…なあ、どうして?
胸が、痛い。
だけど、さっきまでの痛みとは違って――
ギュッと、なるような。
どうして、明菜は…
“この際――キスくらい、してやっても良いけど?”
俺は明菜に、酷いことを言ったはずだ。
明菜の気持ちを、踏みにじって。
なのに――…
“…きっと先輩は、寂しいんです。”
どうして明菜はさ、こんなにも優しいんだろう。
明菜だってきっと、
俺のこと軽蔑したはずなのに…
俺のこと嫌いになったはずなのに…
「先輩は、きっと樹里さんのことがほんとに…本当に、大好きなんです。
…大好きなんだと思います」
…どうして、こんなにも。
「でも…
樹里さんは、自分を必要としていない。
本当に心から、自分のことを必要とはしてくれていない。
だけど、やっぱり誰かに必要とされたくて…
不器用だから、
お金でなんとかしようとしてしまう。
樹里さんのことが、好きだからこそ…
本当に、大好きだからこそ、あんなことしてるんじゃないんですか…?」