恋愛ゲーム
優しさの手を、差し出してくれるのだろう。
「でも…
樹里さんは、自分を必要としていない。
本当に心から、自分のことを必要とはしてくれていない。
だけど、やっぱり誰かに必要とされたくて…
不器用だから、
お金でなんとかしようとしてしまう。
樹里さんのことが、好きだからこそ…
本当に、大好きだからこそ、あんなことしてるんじゃないんですか…?
――お願いします…先輩の気持ち、分かってあげてくださいっ…
先輩の気持ちを、簡単に利用しないでください…」
どうして、こんなにも――…
「お願いします…っ」
優しい手を差し伸べることを、やめないんだろう。
気付けば俺は、そこから走り出していた。
初めて、ほんとの気持ちに気付いてくれた。
ほんとは誰かに気付いて欲しくて、仕方がなかった。
ほんとは自分自身、一番辛かった。苦しかった。
俺はきっと誰よりも、人から必要とされることを望んでいた。