恋人は専属執事様Ⅱ
宝井さんと並んで砂浜に座る。
暫く2人で海を眺めていると、ポツリポツリと宝井さんが話し始めた。
「ガキの頃、親父と弟が海で死んでから海が嫌いになった。親父は厳しかったことしか覚えてない。年子の弟はいつも俺の後をついて回るヤツで可愛かった。俺が弟に泳ぎなんて教えなきゃ溺れることもなかった。助けに行った親父まで死んで……俺は人殺しなんだ。お袋はショックでおかしくなった。俺が死ねば良かったんだ…」
海を眺める宝井さんの目がまた虚ろになっている。
「宝井さんがいなかったら私も死んでいたかも知れない…私はまだ死にたくないから、宝井さんに助けてもらって良かったです」
「俺がいなくても他のヤツらが助けただろ?」
まだ虚ろな目で海を眺める宝井さん。
「お袋も言ったんだ…アンタが死ねば良かったって……」
実の母親にそんなことを言われたなんて…
………
もしかして、宝井さんを束縛しているのは海でもお父さんでも弟さんでもなくお母さんのその一言では?
「私は宝井さんが生きててくれて良かったと思っています。俺様だしえっちだし朝は弱いし…でも、宝井さんの淹れてくれる紅茶が好きなんです。あんなに優しい味のお茶を淹れる人が悪い人な訳ないですもん!」
「朝弱いのは関係ないだろ」
力説に夢中だった私が顔を上げると、優しく微笑んだ宝井さんと目が合った。
………
どちらからともなく、私たちは唇を重ねた。
柔らかな月明かりの下、このまま時が止まればいいと思った。
まだ少し不安定な宝井さんを1人に出来なくて、私は宝井さんと添い寝した。
最近殆ど寝ていなかったのか、ベッドに横たわった宝井さんは直ぐに眠ってしまった。
宝井さんの隣に横たわると、抱き枕のように抱え込まれた。
私の胸に顔を埋めて眠る宝井さんは幼く見えた。
これが母性本能って言うのかな?
宝井さんの柔らかい髪をゆっくり撫でながら、私も眠りに就いた。
何度か宝井さんの泣き声に目が覚めたけど、何も言えず起こすことも出来なかった。
父さん、ミドリ、ご免…
母さん、僕を許して…
宝井さんはずっとそう繰り返し言ってはポロポロと涙を零していたから……
私はベッドの枕元にあるティッシュでそっと宝井さんの涙を拭い、宝井さんの頭をギュッと抱き締めた。
暫く2人で海を眺めていると、ポツリポツリと宝井さんが話し始めた。
「ガキの頃、親父と弟が海で死んでから海が嫌いになった。親父は厳しかったことしか覚えてない。年子の弟はいつも俺の後をついて回るヤツで可愛かった。俺が弟に泳ぎなんて教えなきゃ溺れることもなかった。助けに行った親父まで死んで……俺は人殺しなんだ。お袋はショックでおかしくなった。俺が死ねば良かったんだ…」
海を眺める宝井さんの目がまた虚ろになっている。
「宝井さんがいなかったら私も死んでいたかも知れない…私はまだ死にたくないから、宝井さんに助けてもらって良かったです」
「俺がいなくても他のヤツらが助けただろ?」
まだ虚ろな目で海を眺める宝井さん。
「お袋も言ったんだ…アンタが死ねば良かったって……」
実の母親にそんなことを言われたなんて…
………
もしかして、宝井さんを束縛しているのは海でもお父さんでも弟さんでもなくお母さんのその一言では?
「私は宝井さんが生きててくれて良かったと思っています。俺様だしえっちだし朝は弱いし…でも、宝井さんの淹れてくれる紅茶が好きなんです。あんなに優しい味のお茶を淹れる人が悪い人な訳ないですもん!」
「朝弱いのは関係ないだろ」
力説に夢中だった私が顔を上げると、優しく微笑んだ宝井さんと目が合った。
………
どちらからともなく、私たちは唇を重ねた。
柔らかな月明かりの下、このまま時が止まればいいと思った。
まだ少し不安定な宝井さんを1人に出来なくて、私は宝井さんと添い寝した。
最近殆ど寝ていなかったのか、ベッドに横たわった宝井さんは直ぐに眠ってしまった。
宝井さんの隣に横たわると、抱き枕のように抱え込まれた。
私の胸に顔を埋めて眠る宝井さんは幼く見えた。
これが母性本能って言うのかな?
宝井さんの柔らかい髪をゆっくり撫でながら、私も眠りに就いた。
何度か宝井さんの泣き声に目が覚めたけど、何も言えず起こすことも出来なかった。
父さん、ミドリ、ご免…
母さん、僕を許して…
宝井さんはずっとそう繰り返し言ってはポロポロと涙を零していたから……
私はベッドの枕元にあるティッシュでそっと宝井さんの涙を拭い、宝井さんの頭をギュッと抱き締めた。