恋人は専属執事様Ⅱ
今日は日曜日。
朝ご飯を済ませ、藤臣さんが淹れてくれた紅茶を飲む。
私の好きなアールグレイのミルクティー。
優しい香りを胸いっぱいに吸い込んで、カップに口を付ける。
ベルガモットの香りと程良い甘さが私を癒やしてくれる。
藤臣さんが淹れてくれる紅茶は、私の気分や体調に合わせて毎回微妙に味が違う。
それだけ藤臣さんが私のことを見て配慮してくれていることが嬉しい。
「どうなさいましたか?淑乃様」
藤臣さんが酷く心配そうに私の顔を覗き込む。
「え?」
何でもないと言おうとして、声が震えていることに気付いた。
「お辛いのでしょう?そのようにお声を出さずに泣いてしまわれる程、淑乃様は胸を痛めていらっしゃるのですね…」
藤臣さんに言われて、漸く私は泣いていることに気付く。
私の心は思ったよりも疲れて弱っているみたい。
スッと藤臣さんの指が私の頬をなぞり、涙が白い絹の手袋に染み込む。
「…全て忘れて楽になりなさい」
私を見る藤臣さんの目が、心配そうな様子から違う表情に変わって行く。
「…藤臣さん?」
急に藤臣さんが知らない男の人に見えて、不安になった私は藤臣さんに呼び掛ける。
「貴女は何も考えずただ私に委ねれば良い。これからのことは全て私の一存に因るもの。貴女は何も知らない。咎も罰も全て私1人だけのものだから」
妖しく光る藤臣さんの瞳に吸い込まれ、ただ茫然と見つめる私。
藤臣さんは手袋を外し、冷たい手が私の頬を包む。
「力を抜いて目を閉じて…」
耳に響く藤臣さんの落ち着いた優しい声に、私は言われた通りにする。
ベッドの軋む音と共に、ふんわりとベルガモットの香りがして、唇に温かいものがそっと触れる。
この感触を私は知っている。
意識はあるのに体は眠っていた時に、掠めるように一瞬だけ触れた藤臣さんからのキス。
でも今日はあの時とは違う。
触れるだけの唇が離れまた触れる。
ただひたすら優しく、何度も何度も…
私の頬を包む冷たい手が、優しく私の前髪を掻き上げた。
額にそっとキスをされる。
瞼にも頬にも次々と優しく触れるだけのキスが降り注ぐ。
キスがこんなに気持ちを和らげるなんて知らなかった。
何度も繰り返される優しく触れるだけのキスに、私は何も考えられなくなり藤臣さんの腕の中に包み込まれた。
朝ご飯を済ませ、藤臣さんが淹れてくれた紅茶を飲む。
私の好きなアールグレイのミルクティー。
優しい香りを胸いっぱいに吸い込んで、カップに口を付ける。
ベルガモットの香りと程良い甘さが私を癒やしてくれる。
藤臣さんが淹れてくれる紅茶は、私の気分や体調に合わせて毎回微妙に味が違う。
それだけ藤臣さんが私のことを見て配慮してくれていることが嬉しい。
「どうなさいましたか?淑乃様」
藤臣さんが酷く心配そうに私の顔を覗き込む。
「え?」
何でもないと言おうとして、声が震えていることに気付いた。
「お辛いのでしょう?そのようにお声を出さずに泣いてしまわれる程、淑乃様は胸を痛めていらっしゃるのですね…」
藤臣さんに言われて、漸く私は泣いていることに気付く。
私の心は思ったよりも疲れて弱っているみたい。
スッと藤臣さんの指が私の頬をなぞり、涙が白い絹の手袋に染み込む。
「…全て忘れて楽になりなさい」
私を見る藤臣さんの目が、心配そうな様子から違う表情に変わって行く。
「…藤臣さん?」
急に藤臣さんが知らない男の人に見えて、不安になった私は藤臣さんに呼び掛ける。
「貴女は何も考えずただ私に委ねれば良い。これからのことは全て私の一存に因るもの。貴女は何も知らない。咎も罰も全て私1人だけのものだから」
妖しく光る藤臣さんの瞳に吸い込まれ、ただ茫然と見つめる私。
藤臣さんは手袋を外し、冷たい手が私の頬を包む。
「力を抜いて目を閉じて…」
耳に響く藤臣さんの落ち着いた優しい声に、私は言われた通りにする。
ベッドの軋む音と共に、ふんわりとベルガモットの香りがして、唇に温かいものがそっと触れる。
この感触を私は知っている。
意識はあるのに体は眠っていた時に、掠めるように一瞬だけ触れた藤臣さんからのキス。
でも今日はあの時とは違う。
触れるだけの唇が離れまた触れる。
ただひたすら優しく、何度も何度も…
私の頬を包む冷たい手が、優しく私の前髪を掻き上げた。
額にそっとキスをされる。
瞼にも頬にも次々と優しく触れるだけのキスが降り注ぐ。
キスがこんなに気持ちを和らげるなんて知らなかった。
何度も繰り返される優しく触れるだけのキスに、私は何も考えられなくなり藤臣さんの腕の中に包み込まれた。