恋人は専属執事様Ⅱ
「お嬢様、おはようございます」
藤臣さんの優しい声で目を覚ます。
久し振りにスッキリとした寝起きに心も軽く感じる。
昨日、藤臣さんの腕の中で安心してそのまま眠っちゃったからだと思うと恥ずかしいけど…
「本日のアーリーモーニングティーはトレゴスナンクラシックでございます。こちらはイギリス初の国産茶葉を主体にブレンドした、とても希少なものでございます」
目の前に置かれたカップを口元へ運ぶ。
私好みにミルクたっぷりのミルクティーで、香りも良く美味しくて、思わず頬が弛む。
「お嬢様にお気に召していただけたようで安心いたしました」
藤臣さんが優しく微笑んでくれる。
いつもと変わらないけど…何か違和感があって引っ掛かる。
藤臣さんの何がいつもと違うのかな…
「お嬢様、わたくしの顔に何か付いておりますか?」
まじまじと藤臣さんを見すぎたらしく、怪訝な顔をされちゃった。
「ご免なさい、まだ寝ぼけているみたい」
照れ隠しにそう言ってカップに手を伸ばす。
カチャン!
「っあ…」
慌てたからカップを落として割ってしまった。
「っ淑乃様!お怪我は…お怪我はございませんか?」
藤臣さんが血相を変えて私の手を取り、傷がないか確認する。
でも私はそれどころじゃなかった。
藤臣さんに感じた違和感が何か分かったから……
2人切りの時はいつも名前で呼んでくれるのに、今朝はずっと『お嬢様』って言っている。
私の無事を確認してホッとする藤臣さんに私は訊かずにいられなかった。
「藤臣さん…どうして今日は名前で呼んでくれないんですか?」
私の手を取ったまま腰を屈めている藤臣さんと目線が合う。
少しは動揺してくれると思ったのに、藤臣さんは穏やかな笑顔で
「公私の区別をつけるべきかと存じまして」
と応えた。
「何ですか…公私の区別って……」
声が震える。
ギシッとベッドが軋み、藤臣さんが片膝で乗り上げて私に覆い被さるような体勢になる。
「執事としてのわたくしと男としての私と言う使い分けもしていることは気付かなかったか?」
艶っぽい眼差しに鼓動が一気に早くなる。
スッと藤臣さんの指が私の顎を捉え、そっと唇を重ねて直ぐに離れた。
「これ以上は何もしない。愛する淑乃を私の手で壊したくないから…」
藤臣さんの瞳が不安そうに揺れた。
藤臣さんの優しい声で目を覚ます。
久し振りにスッキリとした寝起きに心も軽く感じる。
昨日、藤臣さんの腕の中で安心してそのまま眠っちゃったからだと思うと恥ずかしいけど…
「本日のアーリーモーニングティーはトレゴスナンクラシックでございます。こちらはイギリス初の国産茶葉を主体にブレンドした、とても希少なものでございます」
目の前に置かれたカップを口元へ運ぶ。
私好みにミルクたっぷりのミルクティーで、香りも良く美味しくて、思わず頬が弛む。
「お嬢様にお気に召していただけたようで安心いたしました」
藤臣さんが優しく微笑んでくれる。
いつもと変わらないけど…何か違和感があって引っ掛かる。
藤臣さんの何がいつもと違うのかな…
「お嬢様、わたくしの顔に何か付いておりますか?」
まじまじと藤臣さんを見すぎたらしく、怪訝な顔をされちゃった。
「ご免なさい、まだ寝ぼけているみたい」
照れ隠しにそう言ってカップに手を伸ばす。
カチャン!
「っあ…」
慌てたからカップを落として割ってしまった。
「っ淑乃様!お怪我は…お怪我はございませんか?」
藤臣さんが血相を変えて私の手を取り、傷がないか確認する。
でも私はそれどころじゃなかった。
藤臣さんに感じた違和感が何か分かったから……
2人切りの時はいつも名前で呼んでくれるのに、今朝はずっと『お嬢様』って言っている。
私の無事を確認してホッとする藤臣さんに私は訊かずにいられなかった。
「藤臣さん…どうして今日は名前で呼んでくれないんですか?」
私の手を取ったまま腰を屈めている藤臣さんと目線が合う。
少しは動揺してくれると思ったのに、藤臣さんは穏やかな笑顔で
「公私の区別をつけるべきかと存じまして」
と応えた。
「何ですか…公私の区別って……」
声が震える。
ギシッとベッドが軋み、藤臣さんが片膝で乗り上げて私に覆い被さるような体勢になる。
「執事としてのわたくしと男としての私と言う使い分けもしていることは気付かなかったか?」
艶っぽい眼差しに鼓動が一気に早くなる。
スッと藤臣さんの指が私の顎を捉え、そっと唇を重ねて直ぐに離れた。
「これ以上は何もしない。愛する淑乃を私の手で壊したくないから…」
藤臣さんの瞳が不安そうに揺れた。